Our Project / Sustainability
森林資源が豊富な飛騨高山は、木と共にその歴史を積み重ねてきました。山々に囲まれ、木はそこにあって当然のもの、常に身近なものの存在価値に気付く機会は多くありませんでした。
cup of tea : ensemble はパートナーに飛騨を代表する家具メーカーの飛驒産業を迎え、自分たちの身の回りに”あるもの”に光をあて、いかにその価値を提案するか。持続可能な地方都市の未来を自分たちだったらどう描くか。
そんな問いへの回答として、私たちが考える地域資源の活用可能性を杉材/間伐材/端材/リペアの4つの軸から提案しています。
本来であれば光が当てられることなく破棄されることも多い素材も、飛騨産業の技術力のもと、優れたデザイン性と居心地が共存する空間を実現しています。




1. 杉材: Cryptomeria Japonica
岐阜県だけでなく、全国的にも多く植えられている杉の木。林業の未来を考えた時、第一に考えるべきは杉の活用可能性と言われることもあるくらい重要な存在です。cup of tea : ensemble では、飛騨地域の杉材を床、ベッド、建具などふんだんに活用しました。
床
飛騨産業独自の圧縮技術によって開発されたフローリングをコミュニティラウンジの一部に使用しています。
子どもたちが自由に遊べるキッズスペースには通常より柔らかく足に優しい感触の圧縮材(35%圧縮)、大人のスペースには硬めの圧縮材(50%圧縮)を使用。
同じフローリングでも圧縮率によって肌触りが違う、cup of tea : ensemble ならではの体験をお楽しみください。
ベッド・建具
木材で家具を作る時に考えるべきことは安全性と耐久性です。
間伐材の場合、1本では強度が足りないことがありますが、組み合わせると充分な強度を持つ家具や建具を作ることができます。
cup of tea : ensemble では間伐された杉の丸太を約200本使用し、オリジナルのベッドや建具を製作しました。
間伐材の特徴である小径・短尺という特性を活かし、あえて大きさがバラバラの木を組み合わせ、隙間から漏れる光が美しい建具。木の香りの中で眠るベッド。
ぜひ、豊かな森の恵みを感じてください。






2. 間伐材
森の手入れがされないことや林業従事者の減少が問題視されている近年。
しかし、森林は私たちの水源・資源でもあり、後世に正しく引き継ぐ必要があります。
木を放置するのではなく、山に関わる全ての人にとって win-win な伐採とはどうあるべきか。
今回、cup of tea : ensemble のプロジェクトチームは山での間伐作業から同行し、木材の種類を指定するのではなく、「森林保全のために間伐された材」をどう価値転換するかを考えました。
山を守るために切られた朴の木を、コミュニティラウンジのメインテーブルに。また、家具材としては不向きな小径木・枝はそのフォルムを生かしたオリジナルの照明器具として製作しています。
「あえて選ばない」、これが自然のあるべき姿や森林資源の活用につながると私たちは考えます。






3. 端材
一本の丸太から家具を作る時、製作に利用できる部分は約25%。
残り75%ほどは端材とされ、ボイラーの燃料となります。
飛騨産業の製材工場を訪れた際、燃料となるべく積まれた端材を見て「勿体ない」と思いましたが、同時にその整然とした姿に美しさも感じました。
そしてその美しさは、ありのままを生かすことの良さや面白さを思い出させてくれました。
cup of tea : ensemble ではこの端材を集め、形をそのままに生かしたコーヒーテーブルとして活用しています。





4. リペア
100 年続く飛騨産業をはじめ、古くから木工家具製作が盛んな飛騨地域。
人は家具を作り、家具は人に寄り添ってきました。
何十年も愛用され、代々引き継がれている家具も珍しくありません。
壊れても直して使い、100年のその先も愛される。cup of tea : ensemble は「物を大切にする」という当たり前だけれど大切なことを伝えたいと考えます。
コミュニティラウンジにある 8 脚の椅子のうち 4 脚は新品ですが、4 脚は職人の手により蘇ったリペア品です。
ベテランさんと新人さん、ぜひ座り比べてみてください。


List of Partners
柿 BUSHI(岐阜県山形市 – 柿渋)
世界でも岐阜県山県市伊自良地区にしかない「伊自良大実柿」という渋柿。
この柿で地域を盛り上げようと、地元住民との協力により、半世紀ぶりに復活した「伊自良柿渋」。多くの人のおもいが詰まったこの柿渋で、柿渋染め商品の販売、柿渋染め体験などを行い、柿渋の魅力を伝えています。



大噴火(岐阜県高山市 – 照明)
飛騨高山にある家具製作工房。
4年間の試作期間を経て2006年に生まれた「ひのきの灯りtubomi」は、原始以来、人類が焚火をみて感じた根源的な安らぎを再現しています。
ひのきの灯りは炎を眺めた時のように真心に帰る空間を生み出します。


まる工芸(岐阜県高山市 – 鏡・照明)
美しいもの 使えるもの 豊かなこと(写真曲げ物他)
飛騨高山の樹木を使って制作しています。

長尾隆司(岐阜県飛騨市 – 山中和紙)
岐阜県飛騨市河合町で鎌倉時代から受け継がれてきた伝統和紙。
雪国ならでわの雪さらしや薬品を使わない伝統製法のままに漉かれた紙は、破れにくい丈夫さが特徴です。


